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可愛かった屋根がない！？

家のプランを考えるとき、図面上でばかり考えていては、なんだかイメージしていたものと違う家が出来上がってしまうことがあります。
図面だけではなく、パース図（イメージ図）などを見て、想像を膨らませていくと良いのですが、このパース図を見るときにも少し注意が必要です。

ん？想像していたよりも狭い？工事中なら大丈夫

いよいよ工事が始まり、家の基礎が完成。
柱が立ってきた頃、現場へ足を運ぶと「あれ？何だか想像していたよりも狭いなぁ」と感じてしまうことが多々あります。

柱が立つことで、間取りが掴みやすくなり、イメージもしやすくなるのですが、壁も天井もないこの段階では、なぜか実際よりも狭く感じやすいのです。
出来上がってみると、今度は、柱だけの状態で見たときよりもずっと広く感じる、なんてことはよくあります。

このように、想像していたよりも広かったり、使い勝手が良かったりする場合は良いのですが、その逆に想像していたよりも、狭かったり、使い勝手が悪かったり、というのは何としても避けたいですよね。

あんなにこだわった屋根が見えない！パース図の落とし穴

外観デザインを決める上で、屋根は重要なパーツです。
ああでもないこうでもないと迷いながら、やっとの思いで決めたのに、いざ家が完成し、家の前に立つと、あんなにこだわった屋根が少しも見えない！なんてことがあります。

パース図で見ていたときは、かわいい屋根が見えていたのになぜ？
これには、こんなからくりがあります。
通常、パース図は、少し上からの視点で描かれます。
つまり、少し離れた建物の屋上から眺めているような感じで描かれるわけです。

しかし、実際完成した家を眺めるときは、自分の目の高さ（１m40cm～1m60cm）から、おおよそ６ｍの家を見上げる格好になります。
この視点の差が、家の前から見たときに「あんなにこだわった屋根が全く見えない！」という悲劇を生むのです。

さらに、パース図では、周囲の家や電信柱や電線といったものを省いて、あなたの家のみを描きます。
広い土地にぽつんと建ったあなたの家を、少し高い位置から眺めるのと、隣の家や電信柱、電柱に囲まれた家を、目の高さから見上げるのでは、感じる印象は随分と違うはずです。

屋根の色や形を決めるときは、自分が家の前に建った時には、どう見えるのか？を確認しましょう。

地味だけどデザインを左右するもの　樋

家をデザインするとき、見落としがちだけど、実はデザインを大きく左右するものがあります。
「樋」です。「とい」「とゆ」と読みます。ご存知の通り、屋根の端で雨を受け、地面に流す装置です。
どの家にもついているものですが、取り立てて注目されることはありません。
しかし、家の機能として絶対に欠かせないものです。
この普段は目立たない存在である「樋」に大注目してみましょう。

お寺や神社には樋がない！？

樋。正確に言えば、屋根の縁に沿って、横向きについているものが「横樋」で、それを受けて、雨を地面に落とす縦向きのものが「縦樋」です。

家の外観デザインを決めるときに、「ここの樋のデザインはどうしよう？」と考える人は、まずいないと思います。が、この樋、意外と曲者。
樋の扱いひとつで、せっかくデザインが台無しになってしまうこともあるのです。

神社やお寺の建物を見てみてください。大抵の場合お寺の屋根には樋がついていません。
これらの建物は、軒の出が長く、樋がなくとも雨だれが壁にかかる心配がないので、樋をつける必要がないのです。
そこにあって当たり前のものがなくても、意外と気がつかないもの。

しかし、お寺や神社の建物の静かで落ち着いた雰囲気、洗練された佇まいは、樋がないことも少しばかり関係していると思います。

樋を美しく収めるには・・・

じゃあ、我が家も洗練した雰囲気にしたいから、樋はつけない！なんてお思いになる方もいらっしゃるかもしれません。
ですが、軒の出が短い一般住宅では、樋は絶対に欠かせないものです。

では、どうすれば樋を美しく収めることができるのでしょうか？
例えば、家の正面には横樋をつけないようにするなど、できるだけ目立たなくするのも一つ。
逆に、縦樋の横にダミーをつけ、２本の縦ラインにし、外観デザインのアクセントにするという方法もあります。

樋をどう扱うかで、家の出来は随分違ってきます。
ぜひ一度、近所の家の樋に注目しながら、散歩してみてください。
良い樋、悪い樋、すきな樋、嫌な樋、色々感じることがあるはずです。

「樋」にこだわって、美しく洗練された外観デザインを考えてみましょう。