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外張り断熱、つまりこういうこと

前項で『外張断熱』については、お分かりいただけたと思います。
それを踏まえて、もう一度、結露と家、『外張断熱』と『充填断熱』について、考えてみたいと思います。

結露は家の大敵！なぜ結露ができるのか？

まず、なぜ結露ができるのかを、夏と冬の場合に分けて、おさらいしてみましょう。

・冬

１．部屋の中を暖房で暖める。
２．部屋の中の暖かい空気や水蒸気が、柱と壁の小さな隙間、コンセント周りから壁の中に入る。
３．それが外気に冷やされ、水滴になる。

・夏

１．外から、壁の中に湿った空気が入り込んだり、強い西日に照らされて、柱などの構造材から水蒸気が発生したりする。
２．その水蒸気が、クーラーをかけた部屋の冷たい空気で冷やされ、壁の内側につき水滴となる。

結露は、知らず知らずのうちに、家を腐らせていきます。
どれだけ耐震性の高い家を建てても、結露で構造材が錆びたり、腐ったりしてしまっていては、意味がありません。阪神大震災でも、雨漏りや結露などが原因で、弱くなっていた家が倒壊してしまった例がありました。
そして、建物を蝕むだけではなく、カビやダニを発生させて、あなたや家族の健康をも脅かします。

安全性の高い外張り断熱

ここまで、『外張断熱』の良さを強調してきたので、『充填断熱』が良くないもののような印象を与えてしまったかもしれませんが、そうではありません。

『充填断熱工法』でも、
・構造材には、乾燥材を使用しましょう。
・ペーパーバリアをきっちり施工して、壁の中に水蒸気が入らないようにしましょう。

ペーパーバリアとは、ポリエチレンシートなどで壁を覆い、壁の中に部屋の湿気が入り込まないようにするものです。
とはいえ、コンセント周りなど、水蒸気の進入を100％防ぐことは難しいのですから、壁内の水蒸気が蒸発しやすいように、通気工法等を併用しましょう。

・室内の換気計画にも、充分、気を配りたいものですね。

などなど、防湿工事を念入りに施すことで、結露の発生を軽減することができます。

ただ、『外張り断熱工法』は、コストがかかる分、壁の中の結露に対する安全性が高い、ということなのです。

『外張り断熱工法』の長所と短所

長所　

・充填断熱のように構造体で断熱が途切れないため、熱橋が少ない。
・建物の形状がシンプルな場合、気密がとりやすい。
・気密がとりやすい分、施工がしやすい。
・結露の恐れがない。
・木材の腐朽の恐れがない。
・配管や、電気配線など融通性がある

短所

・充填断熱に比べ、コストが高くなる。
・壁厚が増えるので、その分土地が必要になる。
・建物外観に制約が多い。
・外装材に制約が多い。
・開口部の収まりに注意が必要。
・土台まわりのシロアリ駆除剤に注意が必要。
・木材の乾燥収縮に、断熱材が追従しにくい。
・断熱材の厚さに制約があり、地域によっては次世代省エネルギー基準に対応しにくい。

などなどがあり　
この長所、短所を裏返すと、『充填断熱』の長所、短所になるケースが多いのです。

どちらの工法が、優れているという事ではないでしょう。
『外張り断熱』はどうだ、こうだ、『充填断熱』はよくない、と言うような一部の人の意見に惑わされないようにしましょう。

どちらの工法でもきちんと施工すれば　快適な家はできるでしょう。

ただ…
鉄骨造はコンクリートのように蓄熱性をもたず、木造のように断熱性もないので、すぐに熱して、またすぐに冷えてしまいます。
従って結露を防ぐには、断熱を外側にもってくるしかありません。
鉄骨が冷橋になるので、内側で断熱すれば結露を防ぐことができないのです。
次世代省エネルギー基準の仕様規定でも、鉄骨造は外張断熱しか認めていませんので、注意しましょう。